泥染め(どろぞめ)

炭酸鉄を含んだ泥で染めること。泥のみで染めたものは鈍い鼠(ねずみ)色となり、この染め色を鈍(にび)色という。植物染料によって染められた糸を泥でもう一度染め出す方法。大島紬、久米島紬などに行なわれている。植物染料に含まれているタンニン酸と泥水に含まれている鉄分とが化合して、絹繊維にタンニン鉄が形成されて、黒みを帯びた茶色になる。糸はそのためにふっくらした味わいがつくられて、しわがよりにくい。まだ化学塗料が用いられていなかった時代の経験が生んだ知恵である。