鯨尺(くじらじゃく)

和裁用物差し。昭和34年、メートル法の改正により一時その生産と販売が中止された。のち和服裁縫にとって鯨尺の必要性が再確認され、昭和53年より法的規制がとかれて再び生産と販売が回復した。1690(元禄3)年刊の『裁物秘伝抄』には曲尺(かねじゃく)、呉服尺、鯨尺の三種が併用されていることが記載されている。〈裁衣尺〉とよばれる裁縫専用の物差しである呉服尺は、基準尺の曲尺の一尺(約30.3センチ)に対して、一尺二寸(約36.4センチ)であった。鯨尺は曲尺の一尺に対して一尺に対して一尺二寸五分(約38センチ)で、呉服尺より五分伸長したもの。江戸時代中期より呉服尺は消滅して、曲尺、鯨尺、文尺(もんじゃく)という足袋用の物差しの三種の併用時代になった。

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